大腸カメラ検査

内視鏡検査では、消化管の粘膜を詳細に観察することができ、必要に応じてその場で組織を採取し病理検査を行うことで確定診断が可能です。特に大腸カメラ検査では、大腸全域の粘膜を精密に観察できるため、早期の大腸がんや、将来がん化する可能性の高い前がん病変であるポリープを発見できます。
発見された大腸ポリープは、検査と同時にその場で切除することが可能です。これにより、検査と治療を一度に行え、将来の大腸がん予防にもつながります。切除は日帰りで行えるため、入院や改めて別日に手術を予約する必要がなく、事前の食事制限や下剤の服用も1回で済みます。
ただし、ポリープの大きさや形状、数によっては、別日に切除を行う場合や入院による手術が必要になることもあります。
大腸がんについて
大腸がんは、日本で年々増加傾向にあるがんで、男女ともにがんによる死亡率の上位を占めています。早期に発見できればほとんどの場合完治が可能ですが、初期には自覚症状がほとんどないため、進行してから発見されるケースが多く、死亡率が高い状況が続いています。
微細で平坦な早期大腸がんを確定診断できる唯一の検査が大腸カメラ検査です。症状がない段階での検査こそが、有効な早期発見につながります。
多くの大腸がんは、もともと良性の大腸ポリープが放置されることで発生します。そのため、将来がん化のリスクがある前がん病変のポリープを切除することは、大腸がん予防に非常に効果的です。大腸カメラ検査中に発見されたポリープはその場で切除できるため、検査は「早期発見」と「予防」の両面で役立ちます。
大腸がんのリスクが上昇し始めるのは50歳前後ですが、前がん病変である大腸ポリープのリスクは40歳を過ぎると上がり始めます。40歳を超えたら、大腸カメラ検査を受けることで、効果的な予防や早期発見につなげましょう。
当院の大腸カメラ検査の特長
1.経験豊富な内視鏡専門医師による大腸カメラ検査

当院の大腸カメラ検査は、長年にわたり高度医療機関で内視鏡検査・治療の研鑽を積んだ院長がすべて担当しています。豊富な経験と高度な技術を活かし、患者さまに負担の少ない、精度の高い検査を実施しています。安全でスピーディーな検査を提供していますので、安心してご相談ください。
2.苦痛に配慮した大腸カメラ検査

当院では、高度な技術を用いた丁寧な検査で、痛みや不快感をできるだけ抑えています。
また、大腸カメラ検査に不安がある方には、軽い鎮静剤を用いて眠っているようなリラックスした状態で受けられる「苦痛の少ない内視鏡検査」も可能です。
鎮静剤を使用する場合は、検査後にリカバリースペースで休息をとっていただきます。また、帰宅時には自動車・オートバイ・自転車の運転はできませんのでご注意ください。
3.オリンパス最新モデル「EVIS X1」内視鏡システムを導入

当院では、内視鏡分野で世界をリードするオリンパス社の最上位機種「EVIS X1(イーヴィス
エックスワン)」を導入しています。数年ぶりのフルモデルチェンジにより、多数の先進機能が搭載され、より高精度な検査が可能になりました。
BI(Narrow Band Imaging)、TXI(Texture and Color Enhancement Imaging)、RDI(Red Dichromatic Imaging)、EDOF(Extended
Depth of Field)などの最新技術により、必要な情報を高精細かつクリアな画像で取得でき、微細な病変の早期発見や正確な診断に大きく貢献します。
EDOF(被写界深度拡大技術)
EDOF技術は、近距離と遠距離それぞれに焦点を合わせた画像を合成することで、焦点範囲の広い明瞭な内視鏡画像を実現します。病変部位をより精密に観察できるため、検査時間の短縮や患者さんへの負担軽減にもつながります。
RDI(赤色光観察)
消化管出血時には視野が妨げられ、止血処置が困難になることがあります。RDI技術は緑・アンバー・赤の3色の特定波長の光を照射して深部組織のコントラストを強化することで、血管の視認性を向上。迅速な止血処置を可能にし、安全で効率的な検査をサポートします。
TXI(構造・色彩強調機能)
TXIは、粘膜表面の「構造」「色調」「明るさ」を最適化して表示する画像処理技術です。通常光では見えにくい色調や構造の変化を強調できるため、病変部位の観察が容易になります。
狭帯域光観察(NBI)
NBIは、通常の白色光では見つけにくい早期がんや大腸ポリープを、毛細血管の状態まで観察できる特殊光で検出します。手元の操作で青と緑の2つの波長に切り替えられるため、簡単に狭帯域光観察が可能です。
4.不快感を最小限に抑える高度なスコープ挿入法

大腸カメラ検査では、スコープが大腸粘膜に触れることで不快感や痛みが生じやすく、特に挿入時に強く感じられることがあります。当院では、腸管を圧迫せずにスコープを挿入できる「軸保持短縮法」という高度な手技を採用しています。腸管は個人によって大きく曲がったりねじれたりしており、その形状に応じて慎重に操作することが重要です。院長はこれまで多くの検査で軸保持短縮法を行ってきた経験を活かし、丁寧かつ安全にスコープを操作。通常、約3分で大腸の最奥部までスムーズに到達できます。
5.炭酸ガスでお腹の張りを抑えた快適な検査

大腸は曲がりくねってお腹の周囲を一周しており、ヒダやシワが多いため、検査で見落としを防ぐには腸を膨らませる必要があります。従来は空気を使用することが多く、検査後もお腹の張りが長く残ることがありました。当院では、体内で吸収されやすい炭酸ガスを使用することで、お腹の張りを素早く解消できます。吸収された炭酸ガスは二酸化炭素として呼吸で自然に排出されるため、安全性も高く、より快適に検査を受けていただけます。
6.ストレッチャーで横になったまま移動可能

鎮静剤を使用した内視鏡検査の後は、リカバリールームでゆっくりお休みいただきます。検査後はストレッチャーで横になったままリカバリールームまで移動できるため、無理に歩く必要はありません。リラックスした状態で検査後の時間を過ごしていただけます。
7.検査中に大腸ポリープをその場で切除可能

大腸カメラ検査で前がん病変の大腸ポリープを発見した場合、その場で日帰り手術として切除できます。入院や別日のスケジュール調整は不要で、前日・当日の食事制限や下剤服用も1回で済みます。
なお、ポリープのサイズや数、形状によっては入院による切除が必要となる場合があります。その際は適切な医療機関をご紹介し、スムーズに治療を受けていただけるよう対応しています。
8.院内での下剤内服が可能です

大腸カメラ検査では、腸内をきれいにするために下剤の服用が必要で、正確な検査のためには欠かせません。通常はご自宅で時間を逆算して服用していただき、便意が落ち着いたらご来院いただきます。
当院では、下剤の服用やその後の移動に不安がある方のために、院内で下剤を服用いただくことが可能です。ご希望の方は、事前診療時にお申し出ください。下剤服用の際は完全個室をご用意しており、スタッフがお声がけにすぐ対応しますので、安心して過ごしていただけます。
9.リカバリールームで安心してお休みいただけます

鎮静剤を使用した内視鏡検査では、検査後にしばらくベッドで休む必要があります。当院では、患者さまがリラックスして安心して休めるよう、専用のリカバリールームをご用意しています。
10.土曜日も大腸カメラ検査を実施

平日はなかなか検査の時間を確保できない方のために、当院では土曜日も大腸カメラ検査を行っています。お仕事や学校を休むことなく、検査を受けていただけます。
安全に検査を行うため、下剤の服用などの前処置がありますので、事前に一度受診して検査の予約をお願いいたします。事前診療も土曜日に対応可能です。
11.徹底した洗浄・消毒で安心の内視鏡検査

当院では、院内感染予防に最大限配慮し、安全な環境で検査を行えるよう努めています。内視鏡検査では、使い捨て可能な器具はディスポーザブル製品を使用し、再利用する器具は日本消化器内視鏡学会のガイドラインに基づき、専用の内視鏡洗浄機で洗浄・消毒を徹底。消毒後は密閉・適切に管理し、患者さんごとに清潔な器具をご用意しています。
胃カメラと大腸カメラの同日検査が可能

当院では、1回の来院で胃カメラ検査と大腸カメラ検査の両方を受けていただけます。これにより、来院回数が減るだけでなく、前日や当日の食事制限も1度で済むため、患者さんの負担を軽減できます。
早めに大腸カメラ検査をご相談いただきたい症状
以下のような症状や状況がある場合は、早めに大腸カメラ検査の受診をご検討ください。
- 排便時の出血
- 便に血が混じる、または付着している
- 赤黒い便が出る
- 下痢や便秘を繰り返す
- 便が以前より細くなってきた
- 下痢や粘液便が続く
- 腹痛が続く、または繰り返す
- 便潜血検査が陽性
- 以前、大腸ポリープを指摘されたことがある
- 家族に大腸がんの方がいる
- 急に便秘が続くようになった
- 40歳以上で、これまで大腸カメラ検査を受けたことがない
- 血液検査で貧血を指摘された
上記の症状がある場合は、できるだけ早く消化器内科を受診してください。
大腸ポリープや大腸がんは、自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、早期発見が可能なのは大腸カメラ検査だけです。症状がなくても定期的に検査を受けることで、早期発見につながります。
また、大腸疾患は下痢・便秘・血便・便通異常・腹部不快感など、症状が似ている場合がほとんどです。内視鏡検査では、目で確認するだけでなく、必要に応じて組織を採取して病理検査を行うことができ、多くの疾患を確定診断できます。
大腸カメラ検査で発見・診断できる主な疾患
過敏性腸症候群(IBS)
腸に炎症や潰瘍などの目に見える異常はありませんが、腸の蠕動運動の異常や知覚過敏などにより、腹痛・下痢・便秘・膨満感などの慢性的な症状を繰り返す疾患です。症状が突然強く現れることもあり、通勤・通学や日常生活に支障を及ぼす場合があります。そのため、症状が続く場合は早めの消化器内科受診をおすすめします。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病は、いずれも難病指定されている代表的な炎症性腸疾患です。下痢や腹痛などの症状がある時期と症状が落ち着く時期を繰り返しながら進行するため、継続的な治療が必要です。症状が似ている場合もありますが、治療内容や食事制限は異なるため、消化器内科で正確な診断を受け、状態に合わせた治療を続けることが重要です。
大腸憩室
大腸の粘膜の一部が袋状に膨らんだ状態を大腸憩室といいます。通常は症状がなく問題にならないことが多いですが、憩室の壁は薄いため炎症や出血を起こしやすく、症状が現れる場合があります。また、多発すると便の通過が妨げられることがあるため、症状がなくても定期的な経過観察が推奨されます。
大腸ポリープ
大腸ポリープは粘膜にできる良性の腫瘍ですが、一部は放置するとがん化することがあります。前がん病変である大腸ポリープは、がん化する前に切除することで将来の大腸がん予防につながります。大腸カメラ検査中に発見されたポリープは、その場で切除できる日帰り手術が可能です。
肛門疾患
便潜血検査で陽性となった場合、最も多く見つかるのが痔です。痔には切れ痔、いぼ痔(外痔核・内痔核)、痔ろうなどがあります。排便時の出血は切れ痔やいぼ痔で起こりやすく、特に内痔核はいぼがあっても痛みを伴わずに出血することがあります。このため、大腸がんと似た症状を示すことがあるため注意が必要です。
当院の大腸カメラ検査の流れ
当院では安全性を重視し、まず事前診療を受けていただいた上で大腸カメラ検査をご予約いただいています。事前診療では、既往症や服用中のお薬を確認しますので、お薬手帳など、服用中の薬がすべて分かるものをご持参ください。
1検査前日
朝食・昼食は消化の良いものを摂ってください。
夕食は素うどんや白粥など軽めに、20時までに済ませ、それ以降は絶食です。
水分は水や薄いお茶など透明で糖分のないものを摂ってください。
就寝前に事前診療でお渡しした下剤を内服し、早めに就寝してください。
2検査当日朝
朝食は摂らず、水など透明で糖分を含まない飲み物で水分補給してください。
ご自宅で下剤を服用する場合
事前診療で渡された下剤を指示通りに水で溶かし、約2時間かけて飲み切ります。
便意が落ち着いたら来院してください。
院内で下剤を服用する場合
検査の約4時間前に来院し、個室で下剤を内服します。
スタッフが対応しますので安心して服用できます。
3検査

ご予約時間の少し前に来院してください。
受付後、当院で用意した検査着に着替えていただきます(個室で対応)。
検査室に入り、鎮静剤を使用する場合は投与後に検査開始です。
内視鏡スコープを肛門から挿入し、大腸の最奥まで進め、少しずつ引き抜きながら観察します。
検査中にポリープを発見した場合は、その場で切除する日帰り手術が可能です。
4結果のご説明

検査を担当した院長が、検査画像をお見せしながらわかりやすくご説明します。
鎮静剤を使用した場合は、リカバリールームで休んでいただいた後に結果説明となります。
大腸カメラ検査の費用
1割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|
大腸カメラ検査のみ | 約2,500円 | 約7,500円 |
大腸カメラ+組織検査 | 約4,000円 | 約11,000円 |
大腸カメラ+ポリープ切除 | 約8,000円~10,000円 | 約24,000円~30,000円 |
※診察料、採血費用は別途必要になります。