お腹が張る(腹部膨満感)とは
お腹の張りや膨満感は、食べ過ぎや便秘、無意識に空気を飲み込んでしまうことなど、日常的な原因で起こることが多い症状です。しかし、中には病気が隠れている場合もあります。 「強い腹痛」「吐き気や嘔吐」「呼吸のしづらさ」などを伴う場合は、腸閉塞など緊急対応が必要な疾患の可能性があるため、早急に医療機関を受診してください。 また、ガスやげっぷが頻繁に出る、数日間排便や排ガスがない、食後や夜間にお腹の張りが続くといった場合も、消化管の働きに問題がある可能性があります。軽視せず、気になる症状があるときには早めに相談することが大切です。
腹部膨満感の原因
腹部膨満感はさまざまな要因によって引き起こされます。
食生活や生活習慣
食べ過ぎや飲み過ぎ、消化しにくい食事(脂っこい食事やアルコールなど)によって胃腸に負担がかかると、食後の膨満感が起こります。また、早食いや姿勢の悪さも空気の飲み込みを増やし、げっぷやおならが増える原因となります。
ストレス
自律神経の乱れにより胃腸の運動機能が低下すると、食べ物の消化が遅くなり、ガスが腸内に溜まりやすくなります。慢性的なストレスや過労も膨満感の一因です。
腹部膨満感を伴う主な疾患
腹部膨満感を伴う疾患には次のようなものがあります。
過敏性腸症候群
炎症や腫瘍がないにもかかわらず、腸の知覚過敏や蠕動運動異常によって膨満感、腹痛、便秘や下痢を繰り返す症状が起こります。ストレスや食事が症状に影響することがあります。
腸閉塞(イレウス)
腸が詰まることでガスや便が通過せず、腹部膨満感や強い腹痛、吐き気、嘔吐が起こります。早急な治療が必要な緊急疾患です。
肝疾患・胆のう疾患
肝臓や胆のうの機能低下、胆石などにより消化液の流れが妨げられると、腹部膨満感や右上腹部の痛み、吐き気が起こることがあります。
検査・診断
腹部膨満感の原因を調べるために、次のような検査が行われます。
腹部エコー(超音波検査)
肝臓、胆のう、腎臓、膵臓などの臓器の状態を安全に観察できます。胆石や肝疾患などが原因の場合に有効です。
血液検査
肝機能や腎機能、炎症の有無、栄養状態を確認します。慢性的な膨満感の背景にある全身状態の把握に重要です。
腹部膨満感の治療・対策
生活習慣の改善
食べ過ぎや早食いを避け、消化に負担の少ない食事を意識します。便秘予防のために食物繊維や水分を十分に摂ることも重要です。また、姿勢を正す、過度なストレスを避けることも効果的です。
薬物療法
便秘や下痢、胃腸の運動機能異常に応じて整腸剤、消化管運動改善薬、胃酸抑制薬などを使用することがあります。
基礎疾患の治療
腸閉塞や胆石、炎症性腸疾患、胃潰瘍などが原因の場合には、それぞれの病気に対する専門的な治療が必要です。早期発見・早期治療が症状改善の鍵となります。
定期的な受診
症状が慢性的に続く場合や、強い腹痛や吐き気を伴う場合は、消化器内科で定期的に診察・検査を受け、原因を明らかにすることが大切です。