内科と総合内科の違い

内科は、一般的に皆さんがよく知るように、体内の臓器の病気をお薬や生活習慣の改善で治療する診療科です。例えば、頭痛や発熱、咳など体調不良を感じた際にまず訪れる場所というイメージが強いでしょう。総合内科も同様に、多くの患者さんがこうした症状で受診されます。
では、内科と総合内科の大きな違いは何でしょうか。内科は通常、呼吸器内科や循環器内科、アレルギー内科、神経内科、血液内科、腎臓内科など専門分野に細かく分かれています。各専門医は自分の専門領域を中心に診察しますが、総合内科は、特定の専門分野だけでなく、患者さんの状態を全体的に把握して総合的に診療を行うところが特徴です。
たとえば、風邪一つでも喉、頭、胃腸などさまざまな臓器に影響が及びます。単なる季節性の風邪なら問題ありませんが、その背景に喘息やアレルギーが隠れていることもありますし、他の臓器の検査が必要になる場合もあります。そうした多面的な判断を行い、患者さんを包括的に診察できるのが総合内科の役割です。
さらに、より専門的な診療機関の受診が必要な場合には適切に判断し、地域の専門医と連携しながら、一人ひとりに合った医療を提供できるのも総合内科の強みです。
総合内科専門医とは

近年、国内では高齢者や生活習慣病の患者数が増加し、単一疾患に限らない複雑な健康問題を抱える方が増えています。特に高齢者は複数の臓器機能が低下している場合が多く、内科医でも専門外の疾患を理由に診療を避けることがあるのも現状です。また、内科で処方された薬が効かなかったり、症状が改善せず複数の医療機関を転々としたり、大きな病院で検査ばかり繰り返される「たらい回し」のような状況に悩む方も少なくありません。
こうした医療の無駄を減らし、患者さん一人ひとりの症状に適した治療を的確に行うため、総合内科専門医の存在は非常に重要です。
総合内科専門医は、内科の各専門医がさらに広範な知識や技術、豊富な臨床経験を積み、厳しい試験に合格して取得する資格です。内科の中でも総合診療のエキスパートといえます。また、高度な専門性だけでなく、患者に寄り添い丁寧な診療を行う人間性も求められます。
特に大きな病院への受診が難しい地域に住む方や、複数の診療科を受診しなければならない患者さんにとって、総合内科専門医は信頼できるかかりつけ医として心強い存在です。
総合内科で対応する主な病気や症状
呼吸器の病気
風邪や気管支喘息、咳喘息、長引く咳や痰、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、肺気腫、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、インフルエンザ、禁煙治療などが含まれます。
消化器の病気
腹部の痛み、下痢、便秘、胸やけ、げっぷ、逆流性食道炎、慢性肝炎、肝機能の異常などが挙げられます。
循環器の病気
息切れ、動悸、めまい、狭心症、心筋梗塞、血圧異常、不整脈、心不全などが主な症状です。
アレルギー関連疾患
花粉症、食物アレルギー、じんましん、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などがあります。
代謝・内分泌の疾患
生活習慣病、メタボリックシンドローム、高脂血症(脂質異常症)、糖尿病、痛風、甲状腺の病気などを扱います。
総合内科で行う検査について
内科や総合内科では、各クリニックによって実施できる検査内容が異なります。
当院は一般的な内科クリニックよりも幅広く専門的な呼吸器検査やアレルギー検査を行うことができます。
血液検査
血液検査では、感染症の有無やアレルギーの種類、肝機能の異常、糖尿病や脂質異常症、腎臓の炎症など多岐にわたる健康状態を把握できます。
尿検査
尿に含まれるタンパク質や血液の有無を調べることで、腎臓疾患や膀胱炎など、体内の炎症の有無を検査します。
血圧測定
血圧を測定し、高血圧や低血圧の状態を確認します。食後や急いで来院した際には一時的に高くなることもあるため、単回ではなく定期的に測ることで、より正確な診断につながります。
胸部レントゲン検査
X線を用いて肺や心臓の状態を確認し、肺に腫瘍や炎症がないか、心臓の肥大の有無などを調べます。
心電図検査
胸部に電極を装着して心臓の電気活動を記録し、不整脈や狭心症などの心疾患を評価します。
ホルター心電図検査
ホルター心電図検査は、携帯型心電計を装着し24時間の心電図を記録する検査です。不整脈や狭心症の診断に役立ちます。