便秘について
便秘とは、毎日排便があっても、スムーズに出ない、強くいきまないと少量しか出ない、残便感がある、薬を使わないと排便できないといった状態を指します。
女性はホルモンの影響や便意を我慢する習慣などで便秘になりやすく、加齢とともに発症率が高くなります。男性も年齢を重ねると便秘を経験することが増えます。
便秘は、生活習慣や体質だけでなく、大腸がんなどの疾患が原因で起こることもあります。また、便秘が長く続くと、大腸疾患や痔のリスクが高まります。特に「切れ痔」と便秘は互いに悪化しやすく、症状の進行につながることがあるため注意が必要です。
体質だからとあきらめる方も多いですが、疾患が原因でない便秘であれば、消化器内科で適切な診断・治療を受けることで改善や再発予防が可能です。便秘でお悩みの方は、早めに消化器内科を受診することをおすすめします。
便秘で受診を検討すべき症状
便秘は多くの場合、生活習慣や体質に関連していますが、以下のような症状がある場合は早めに医療機関を受診してください。
- 急に便秘が始まった、または便秘の状態が悪化した
- 便に血が混じる、または黒色便が続く
- 強い腹痛やお腹の張りを伴う
- 体重が急に減ってきた
- 市販薬を使っても効果がない、または薬に依存している
これらは大腸がんや炎症性腸疾患など、重大な病気のサインである可能性があります。自己判断せず、消化器内科の受診をおすすめします。
便秘の種類と原因
便秘は原因によっていくつかのタイプに分けられます。
弛緩性便秘
大腸のぜん動運動が弱まり、便をスムーズに送り出せなくなるタイプ。加齢や運動不足、筋力低下が主な原因です。
痙攣性便秘
大腸が過度に収縮し、便の通過が妨げられるタイプ。ストレスや自律神経の乱れが関与していることが多く、下痢と便秘を繰り返す場合もあります。
直腸性便秘
便意を我慢する習慣が続くことで直腸が便に鈍感になり、便を排出しにくくなるタイプ。女性や高齢者に多くみられます。
器質性便秘
大腸がんや腸閉塞など、腸に明らかな異常がある場合に起こる便秘です。早期発見・治療が必要です。
便秘の治療法・生活習慣改善
便秘は原因に応じた治療と生活習慣の改善で多くが改善します。
生活習慣の見直し
十分な水分摂取、食物繊維を含む食事(野菜・海藻・豆類など)、適度な運動を取り入れることが大切です。
排便習慣の改善
朝食後にトイレに行くなど、自然な排便リズムを作ることが有効です。便意を我慢しないことも重要です。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは改善しない場合、下剤や整腸剤などの薬を使用します。便秘の種類に応じて適切な薬を選ぶ必要がありますので、自己判断ではなく医師の指導を受けることをおすすめします。
原因疾患の治療
大腸がんや炎症性腸疾患など、病気が原因で便秘が起きている場合は、その治療が最優先となります。
当院での便秘診療の流れ
当院では、まず患者さんのお話を丁寧に伺い、便秘のタイプや生活習慣、背景にある病気の有無を見極めます。
1問診・診察
排便の頻度や便の状態、生活習慣、服薬状況などを詳しく確認します。
2検査
必要に応じて血液検査、腹部レントゲン、大腸カメラ検査などを行い、器質的な異常がないかを調べます。
3治療方針の決定
生活習慣改善のアドバイスを行い、必要に応じて下剤や整腸剤などの薬物療法を組み合わせて治療します。慢性的な便秘の場合も、患者さん一人ひとりに合わせた方法で改善を目指します。
便秘の予防法
便秘は日常生活の工夫によって改善・予防できる場合が多くあります。以下のような生活習慣を意識してみましょう。
食生活の改善
野菜、海藻、きのこ、果物など食物繊維を多く含む食品を積極的に取りましょう。
ヨーグルトや納豆などの発酵食品は腸内環境を整えるのに役立ちます。
水分をしっかり摂ることも重要で、1日1.5~2リットルを目安にこまめに飲むようにしましょう。
規則正しい生活リズム
朝食後にトイレに行く習慣をつけると、腸のぜん動運動が促され排便がスムーズになります。
睡眠不足や不規則な生活は腸の働きを乱すため、規則正しい生活を心がけましょう。
適度な運動
ウォーキングやストレッチなど軽い運動は腸の動きを活発にします。
デスクワーク中心の方は、座ったままでもできる体操や腹筋運動を取り入れるのも効果的です。
便意を我慢しない
忙しさや外出中などで便意を我慢すると、便が硬くなり便秘を悪化させます。できるだけ早めに排便する習慣をつけましょう。